スマートフォンを手に確かめる求職者と、その周りに浮かぶ求人票・ホームページ・チャット・動画の画面。4つの画面は1本の赤い線でつながっている

求人に応募が来ない会社に足りないのは、文章力ではない。100社超の採用取材でわかったこと

求人記事の文章を「もっと上手に書けば、応募が来るのではないか」。採用に悩む会社から、よく聞く言葉です。

結論から書きます。応募が集まる会社と集まらない会社の差は、求人の文章のうまさではありません。経営者の信念が、外から見える形になっているかどうか。そこで分かれます。

一朶の雲はこれまで、熊本を中心に100社以上の企業の採用取材を手がけてきました。経営者に話を聞き、社員に話を聞き、その会社の魅力を求人記事にする仕事です。その現場で見てきたことをまとめます。

この記事の要点

  • 文章の質はAIで底上げされ、もう差がつかない
  • 差がつくのは、経営者の信念が「見える形」になっているかどうか
  • 求職者は求人記事だけでなく、ホームページ・SNS・動画・返信の速さまで横断して「整合性」を見ている
  • 厳しさとビジョンをセットで書くと、マッチングの精度が上がる

文章力は、もう差別化にならない

いまはChatGPTをはじめとするAIを使えば、誰でも整った求人原稿が書けます。言い回しを整える。読みやすい構成をつくる。目を引くキャッチコピーを考える。こうした作業は、AIが一瞬でこなしてくれます。

つまり、求人記事の文章の質は、全体として底上げされました。

裏を返せば、文章力では差がつかなくなったということです。どの会社の求人記事も、表面上は整っている。読みやすく、きれいにまとまっている。だからこそ求職者は、きれいな文章の奥にあるものを見ようとします。

応募が集まる会社は、経営者の信念が「見える形」になっている

では、何が違うのか。

100社以上の取材を通じて見えてきたのは、経営層の信念が見える形になっているかどうかです。

自分たちはどこを目指しているのか。社員と何を成し遂げたいのか。この会社は何者なのか。「うちはこういう会社だ」というアイデンティティの表明が、求人記事の奥にちゃんと存在しているかどうか。

この熱量がきちんと言葉になっている会社は、応募が来るのが明らかに早く、内定までの道のりもスムーズです。

もうひとつ、取材を重ねて分かったことがあります。経営者の信念を言葉にすると、事業やカルチャーの紹介にも自然と厚みが出ます。「やること」と「やらないこと」が整理され、会社の立ち位置が読み手に伝わる。信念の可視化は、結果として採用戦略そのものになります。

求職者は、すべてのチャネルを横断して「本物かどうか」を見ている

ある取材で、転職して間もない社員の方がこう話していました。

「転職は『賭け』だと思っています。だから、求人に書いてあることに誇張がないか、かなり厳しく見ていました」

その方は求人記事だけでなく、会社のホームページ、社長のTikTokやYouTube、SNSまで、あらゆるチャネルを横断して確かめていたそうです。決め手は「どこを見ても違和感がなかったこと」でした。

別の方は、経営者のストーリー動画をYouTubeで何度も見て「この会社なら自分でも挑戦できる」と思い、応募したと話してくれました。問い合わせへの返信の速さが「会社への信頼度に直結する」と語った方もいます。「1日連絡がなかったら、そういう体制の会社なんだなと思ってしまう」と。

  1. 求人記事を読む仕事内容と条件を見る。ここまでは、どの会社も整っている
  2. ホームページを見る会社が何を目指しているのか。求人と同じことが書かれているか
  3. 経営者のSNS・動画を見る経営者の言葉と人柄。求人から受けた印象とずれていないか
  4. 問い合わせる返信の速さと中身。「1日連絡がなかったら、そういう体制の会社だと思う」
  5. 面接で確かめる社員が話す言葉が、ここまで見てきたものと一致しているか
図1:求職者が応募から内定までに確かめていること。どこか1か所でもずれると、そこで離れていく。

つまり求職者が見ているのは、文章のうまさではなく「整合性」です。求人記事、ホームページ、SNS、動画、面接での対応。すべてのチャネルで、同じ信念が一貫して表現されているかどうか。ここにずれがあると、どれだけ文章が上手くても見抜かれます。

あえて厳しいことを書く求人のほうが、人が来る

だからこそ、耳あたりのいい言葉を並べるより、あえて厳しいことを書くほうが効く場面があります。

私たちが手がけた取材記事で、あえて「土日も働くことがある」「責任が重すぎると感じて離れる人もいる」と正直に書いたことがあります。その会社には、事業を通じて地域の未来を変えるという、強いビジョンがありました。厳しさとビジョンをセットで伝えたことで、「それでも行きたい」と腹をくくれる人が応募してくる。結果として、マッチングの精度が上がりました。

  • 八方美人な求人

    良いことだけを並べる。誰にでも当てはまり、誰にも刺さらない。入社後のギャップが早期離職につながる。

  • 条件だけの求人

    給与・休日・福利厚生しか書けない。他社と比べられたとき、選ばれる理由が条件の差しか残らない。

  • 厳しさとビジョンをセットで書く求人

    大変なことも正直に書き、それでも目指す先を示す。腹をくくれる人が来るので、入社後のミスマッチが減る。

図2:応募が集まらない求人の2つの型と、マッチングの精度が上がる求人。

八方美人な求人は、誰にも届きません。目指すことを正直に書くことで、求職者も納得して応募できる。取材の現場で、何度も目にしてきたことです。

熱量だけでは足りない場面もある

ただし、すべてが熱量で解決するわけではありません。

たとえば、採用の間口を広げたい場合。自社の強みが福利厚生なのか、給与水準なのか、仕事を通じて得られる経験やスキルなのか。他社と比べたときにどこが自社の強みなのかを冷静に見極め、情報を整える必要があります。

もうひとつ大事なのは、チャネルごとの役割を理解して使い分けることです。ホームページ、SNS、YouTube、Podcast。届く層も、届き方も違います。信念を一貫して表現することと、チャネルの特性に合わせて最適化して届けること。この2つは両立させなければいけません。

ここは、社内からだけでは見えにくい部分です。外の視点を入れて客観的に整理したほうが、結果的にうまくいくケースが多くあります。

信念を言葉にし、チャネルごとに届け分ける。そこから一緒に設計します。

一朶の雲は、経営者と社員への取材から、会社の芯になる言葉を見つけ出すところから入ります。求人記事、採用ページ、採用動画、SNSまで、同じ信念が一貫して届くように設計し、制作します。

採用広報を相談する

「うちには特別なものなんてない」会社ほど、掘れば出てくる

100社以上を取材するなかで、「うちには特別なものなんてないよ」とおっしゃる経営者に、たくさん出会ってきました。

それでも、話を聞いていくと必ず出てきます。会社をつくったときの想い。事業を始めたときの覚悟。仲間を集めたときの熱。どの会社にも、その会社にしかない信念があります。

それが、まだ見える形になっていないだけです。

自社の求人を、社名を隠して読んでみる

いま出している求人記事を、ひとつ開いてみてください。

そして、社名を隠して読んでみる。

それでも「この会社だ」と分かるなら、信念は言葉になっています。他社の求人と入れ替えても成立してしまうなら、足りないのは文章力ではなく、その奥にある言葉です。

次に、同じ目で自社のホームページとSNSを見てください。求人記事と同じことを言っているかどうか。求職者は、そこまで確かめに来ています。

求人と採用広報について、よくある質問

求人に応募が来ないのは、求人記事の文章が悪いからですか。

多くの場合、文章そのものが原因ではありません。いまはAIで誰でも整った文章が書けるため、文章の質では差がつきにくくなっています。差がつくのは、経営者の信念や会社の目指す姿が、求人記事の奥に見える形で表れているかどうかです。

求職者は、応募の前に何を見ていますか。

求人記事だけでなく、会社のホームページ、経営者のSNSや動画、問い合わせへの返信の速さまで横断して確かめています。見ているのは文章のうまさではなく、どこを見ても同じことを言っているかという整合性です。

求人記事に、仕事の大変さを書いてもいいのですか。

書いたほうが効く場面があります。厳しさと会社のビジョンをセットで伝えると、それでも行きたいと思える人が応募してくるため、入社後のミスマッチが減ります。良いことだけを並べた求人は、誰にでも当てはまり、誰にも届きません。

採用広報とは何ですか。

会社の考え方や働く人の姿を、求職者に向けて継続的に発信する取り組みです。求人票に載せる条件だけでなく、会社が何を目指しているのか、どんな人が働いているのかを、記事・動画・SNSなどで伝えます。

社内に採用広報の担当者がいません。外部に頼めますか。

頼めます。一朶の雲では、経営者と社員への取材から会社の芯になる言葉を見つけ出し、求人記事、採用ページ、採用動画、SNSまで一貫して制作しています。社内に専任者がいない企業からのご相談も多くいただいています。

熊本で採用広報を相談できる会社はありますか。

一朶の雲株式会社(熊本県山鹿市)は、熊本を中心に100社以上の採用取材を手がけてきた会社です。採用広報の設計から、求人記事・採用動画・SNSの制作まで一貫してご相談いただけます。九州全域に対応しています。

最後に

求人に足りないのは、文章力ではありません。会社の信念が、ちゃんと言葉になっているかどうかです。

そしてその言葉は、求職者が探しに来る場所に置かれていなければ届きません。求人記事にも、ホームページにも、SNSにも、同じ言葉がある状態をつくる。それが採用広報の仕事です。

いま出している求人を、ひとつ持ってきてください。

社名を隠しても「この会社だ」と分かる求人になっているか。一緒に読むところから始めます。熊本・九州の企業の採用広報、求人記事、採用動画、SNSまで。まずは話を聞かせていただくところからで構いません。

一朶の雲に相談する